今更ですが、細田守氏監督の『おおかみこどもの雨と雪』を観てきました。
同じ細田監督作品の『時をかける少女』や『サマーウォーズ』と比べると「派手さ」はないものの、静かに、丁寧に進むストーリーと細やかな心理描写が秀逸な名作で、感動を覚えました。
物語の構造としては、長女の雪が、ナレーションで母の子育ての奮闘ぶりを振り返り、「人間」と「おおかみ」を行き来しつつ、雪と弟の雨が成長していく様をあぶり出す形をとっており、「家族」というテーマでは『サマーウォーズ』を、「選択」というテーマでは『時をかける少女』を引き継いでいますが、どちらもより深く、「シリアス」に描かれていると感じます。
そして軸となっているのが「母の愛情」。二人の幼児を残して、父親の「おおかみおとこ」は母の花の目の前で、おおかみの姿で目を見開いたまま、ゴミ袋に詰め込まれ、ゴミ収集車に放り込まれる、というショッキングな死を迎える。それでも、いやそれだからこそ、花は「子供達を育て上げる」と決心をし、それを成し遂げる。
それは「怖い」ほど深くて毅い、故に「痛みを伴う愛情」だったのではないかと思う。
元々、物語では深く触れられていないが両親を早くに亡くし、交友関係も生活費を稼ぐ必要からあまり広くない「孤独」をかかえていた花は、だからこそ「おおかみおとこ」という誰にも話せない秘密を抱えている故に「孤独」だった「おおかみおとこ」に惹かれたのかもしれない。そして、彼の死後は一人で彼の「孤独」をも引き受けながら子育てをしなければならなかった。
それを、子供達が巣立つまでの12年間を「まるでおとぎ話のようだった」と振り返る花は、やはり「怖い」。
それから、筒井康隆さんがなんと「ライトノベル」を執筆したと聞いて、買ってきて読みました。『ビアンカ・オーバースタディ』。
ライトノベルはほとんど読まないので、これがどれだけ「ライトノベル」しているのかは判断がつきかねますが、筒井さんらしいエンターテインメント性にあふれた作品だとは思いました。
ただ、ライトノベルということで言えば、平井和正さんの近年の作品の方が「ライトノベル」しているように思えるのは、ファンのひいき目か(笑)。まぁ、この話は書き出すと止まらなくなるので、またいずれ(笑)。
